はじめてこの気持ちに気づいたのは
ロシアでの出来事で・・・・だった。
カイが行ってしまった。
もう・・・帰って来ないかも知れない・・・二度と・・・・。
それだけで俺は気が狂いそうになった。
ボーグに行っちまうことがカイにとって良くないとか
そんな理屈だけじゃなかったんだ。
バイカル湖で戦ってた時、
何が何でもカイを連れ戻すって
そのためなら何だってやるって・・・・・。
・・・・怖かったんだ。
もう二度とカイに会えなくなるのが。
俺のそばから永遠にいなくなっちまうのが・・・・・。
でも。
気持ちに気づいたからって
男同士だし。
どうにもなんね〜よな・・・・俺ってホント、バカ・・・。
カイのバトルは・・・・。
何て言ったらいいんだろう、本当に綺麗なんだ。
戦うカイの背中は崇高で・・・・。
炎を纏って、絶対的な強さの化身とでも言うのかな。
そう、朱雀そのものって言うか・・・。
そんなカイを見て、いつも圧倒されてあまりの神々しさに見とれて
そして体の奥底から湧き上がるフツフツとした気持ちに昂揚する。
カイがいてくれるだけで俺は頑張れた。
カイが見てると思うだけで、いつだって自分の力以上の力が出せた。
どれだけ心強かったか知れやしない。
俺にとってカイは・・・もうず〜と前から特別だったんだ・・・・。
・・・観念したのはロシアでの一件か。
初めはあいつを見ていると無性に腹がたった。
いつもポジティブで頑張れば全て何とかなると思っている。
そんなヤツを見ていると踏み潰してやりたくなった。
どうにもならない事もあるのだと・・・解らせてやりたかった。
なのに、ヤツ等と行動を共にするようになってからは
気がつくと目で追っていたように思う。
あいつは何処までも清廉だった。
あいつと関わると皆がよい方へと導かれていった。
そして気がつくとあいつに惹かれている。
きっと、出口のない地獄の中で
俺が一番あいつを求めていたのかもしれない。
だが・・・そう簡単に認められるものではない。
俺を連れ戻す為にあいつが修道院へ乗り込んできた時は
驚愕した。
なぜコイツはこんなにムキになる?
俺を連れ戻す為だと?
くだらん・・・・!
あいつに「ドランザーは不要だ」と・・・
お前も俺にとっては不要だと・・・・言い放った。
しかし。
あの時・・・・。
バイカル湖に沈んでいく俺に手差し伸べてきた時
事実を・・・気づかないフリをしてきた一番大事なものを・・・突きつけられた気がした。
俺はあいつに・・・・救われた。
体のことだけではなく心が・・・。
あいつがいなければ俺は今もバイカル湖の底に沈んでいたかもしれない。
いつまでも・・・あの、恐ろしく透明な深い湖に。
・・・・それも滑稽な話だ。
爺やヴォルコフの欲望に翻弄され続けた俺が、そんな所に棲めるわけがない・・・。
俺があの澄んだ魂を手にできる筈などないのと同じように。
・・・あの清い魂を・・・タカオという光を
何よりも望んでいるというのに・・・・・・・・。
end
(2005.6.10)