「タカオ・・・・。」
「・・ッ!・・・・!」
タカオの体を激しく揺さぶっていたカイは
ふと、そのキツく閉じた瞼に唇を落とした。
声を我慢していたなら、その声を聞いてみたいと思う。
瞳を固く閉ざしていたなら、開いて欲しいと願ってしまう。
蒼い瞳を
蒼い星空のような、その瞳を・・・・。
「・・・・・?」
急に動きを止めてしまったカイを不思議そうにタカオは見上げた。
するとカイはフッ・・・と微笑んで。
「どうしたんだ?」
「いや・・・。」
街にはきらびやかなイルミネーションが輝き、夜空を照らす。
本来の意味など考えもせず、いったい何がそんなに楽しいのだろうか。
ずっと・・・そう思っていた。
だが、今日、この時。
何よりも大切なお前と過ごして、どこか神聖な気持ちになるのは何故だろう。
どんな星空も敵わない、お前の瞳を・・・見ていたいと思うのは何故だろう・・・。
「・・・・カイ・・?」
「・・・・。メリー・クリスマス。」
「??どうしたんだ?一体・・・。」
「今日この日において、これ以上ありきたりの言葉はないと思うが・・・。」
「・・だから・・そんな意味じゃなくって・・・。」
タカオは困っていた。
それはそうだろう。俺はそんなモノに興味を示した事などなかった。
「別に・・・。ただ、お前の瞳はこのイブの夜空よりもずっと────。」
美しいと────。
だがその先は言葉にはせず行動で示す事にした。
唇を押し付け、舌を絡ませて・・・・そしてゆっくりと下半身の動きも再開する。
「・・・・んッ・・!カ・・・ィ・・・・!」
タカオは息苦しくなって唇を離そうともがいたが、カイはそれを許さない。
苦しくて、飲み切れない唾液が口元を伝う。
カイの激しい動きに歓びと愛しさとが体中を支配して。
そして。
・・・愛してる・・・・・・・・。
くぐもった断末魔の叫びが、互いの口内に響き渡った。
はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・。
荒い息の中、互いに激しく抱きしめ合って。
「カイ・・・どうしたんだよ・・・・・・。」
「・・・・。いや、そこらの馬鹿なカップルのように、どうやらクリスマスに当てられたらしい。」
さすがに照れた。案の定、タカオが目を見開く。
イブの星空を閉じ込めたような、その瞳を。
そしてプッ・・・と吹き出すタカオ。
「いつも「クリスマスだと?くだらん。」ってクールに言ってたくせにー!」
「・・・・。お前のせいだ。」
「は?」
それは今まで大切なものなどなかったから。
何にも代えがたいものなど・・・・俺にできるとは思っていなかったから。
特別な事など何もなくても
ただ、そんな相手とイブの夜、共にいる事が
肌の温もりを交し合える事が
これほどまでに満ち足りた想いになれるとは・・・知らなかった・・・・。
だが、そう素直に答えるのにさすがに戸惑いを覚えたカイは
ぷい・・と横を向いてしまった。
未だ体は繋がったままで強がるカイ。
可愛い・・・!と思った。
もっと苛めたい衝動に駆られてしまったタカオだが、これ以上追求すると後が怖い。
ま、いいか。
「カイ、メリークリスマス。」
タカオはニッコリと笑った。
その笑顔が何よりのクリスマスプレゼント。
カイもつられたように微笑むと、もう一度タカオを強く抱きしめた。
Merry Christmas・・・・
end
これは前のクリスマスに日記に上げたものです。
小ネタには長すぎたので真面目に上げる事にしました。
裏にしては軽めなので表に上げましたが・・・・どうでしょうか?
この話はサイトのブログのテンプレートを見ていて妄想しちゃった話です。
この夜空のような話を・・・・と思いました。
そして、カイは絶対「クリスマスだと?くだらん。」というタイプだと思いますが
今回はクリスマスに影響させてみました。
短く、しかも一年近くも前に上げた話ですが・・・もう次のクリスマスが近い・・・(苦笑)。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
(2007.11.13)