「貴様・・・よくも木ノ宮に・・・・。」
「カイ!?なんでこんな所に・・・!」

しかし、怒りに我を忘れたカイの耳には、タカオの言葉は届かなかった。

「覚悟は出来てるんだろうな?」

殺気に溢れた紅い瞳。
見下ろされた少年は、何がなんだかサッパリ分からず
でもカイの異様な殺気、このままではマズイ、殺される〜!!ってことだけは感じてます。
そしてその間に、一緒にいた他の少年達は慌てて逃げ去ってしまった。
残されたのはタカオと
カイに睨みつけられて身動きすら出来なくなってしまった哀れな少年。

「な、・・・おい、タカオ!なんなんだよ、コイツは!!」
「気安く「タカオ」などと呼ぶな。」

更に殺気が〜〜〜!!

「カイ!どうしたんだよ!?良く分かんねーけど、絶対違うから!!」
「お前はさがってろ。後でお仕置きだからな。今夜は眠れると思うな。」

そして改めて

「真の炎を見せてやる。殺れ!ドランザー!!」
「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

タカオの友達はあっけなく焼死体に。

「ふん・・他愛もない。」

カイは華麗にドランザーをキャッチすると、タカオに向き直った。
が、しかし・・??

「・・・・カイの・・・・馬鹿〜〜〜〜〜〜!!!」


・・・こうなってしまった経緯であるが。
放課後の、友達同士のごくありふれた馬鹿騒ぎ。
たまたま、その中の一人がタカオに抱きついた所へ
カイが運悪く登場してしまったのでした。

さて、そこには一体の焼死体。
それを見下ろしながら。

「・・・・・・。あのさ、カイ。
まさかとは思うけど、こいつが俺に抱きついたのを見て
コイツが俺の事、好きで・・だから迫ってた・・・と思った?」
「違うとでも?」

タカオは「やっぱり・・」と、盛大に溜息をついた。


「俺達は、ただ単に馬鹿騒ぎしてただけ。こいつは全くのノーマルだ!」
「言い訳ならゆっくり聞こう。無論、寝室で。」
「だから!!あのなー!!俺がカイ以外のヤツとどうこうなる訳ないだろ!?
それに!コイツが好きなヤツだって、俺じゃなく!クラスメートの女だ!」
「しかし力いっぱい、お前を抱きしめていただろうが。」

・・・ダ、ダメだ・・・・思いっきりフィルター越しにしか見てないよ・・・・。

タカオは改めて、カイの「タカオ馬鹿」っぷりを思い知らされた。
ああ、なんで俺の周りにはこんなのばっか・・・
仁兄ちゃんはじめ・・・ああ、なんで・・・!!
しかし、ここは世を儚んでばかりもいられない。
もう一度、盛大に溜息をつくと、タカオはキッ・・とカイを改めて睨み付けた。

「あのさ、カイ。男同士でどうこうなるのなんて、そんなにいない。分かるよな?」
「無論。」
「そこら辺の男は大抵・・・いや、もう100%と言っていいほど、男なんかに興味はない。」
「そんな事はないだろう。現に仁、レイにマックス・・・キョウジュですら、隙あらばと狙って・・・。」
「あいつ等は例外中の例外だ!!」
「例外などではない。
どんな男だとて、お前に関わっているうちに皆、お前の虜になってしまう。
そんな例ばかり俺は見てきた。
他にもいたな。
ユーリ、ブルックリン、ゼオ、ジャンカルロ、オリビエ、オズマ、ケイン山下、ミハエル、ガーランド・・・・・。
この焼死体だとて同じ事。暫くお前と共にいれば・・・。」

何を言ってもダメだ・・・・
カイも兄ちゃんも・・・・あんなに普段は頭良いのに
俺なんか、比較にならないくらい、優秀なのに・・・
何故か俺の事になると・・・・
なんでみんな、揃いも揃って同じ反応しか示さないんだよっ!!!

強烈な虚無感がタカオを襲った。

と、その時。
カイの唇がタカオのそれに触れていた。

「・・・っ!」

全く虚を衝かれた形だったので、タカオは驚いてしまって
でも、こんな所でキスなどしていては、いつ誰の目に留まるとも思えず、タカオは抵抗したのだが
カイによって抱きしめられて後頭部をガッチリとつかまれて、離れることが出来なかった。
そして・・・唇を、舌を交わしているうちに・・・だんだんそんな事などどうでも良くなってしまって。
気付けば久し振りすぎる唇付けに酔いしれてしまって。

ようやく唇が離されると、未だ息がかかるほどの至近距離で。
キスの余韻が残る中、カイの端整な顔がすぐ傍にある。
あの美しい、紅い宝石のような瞳がすぐ傍にある。
思わず、見惚れてしまうほどの・・・。

「タカオ。お前は俺のものだ。」

大事な話の時は、カイは必ず「タカオ」と呼ぶ。
タカオは名前で呼ばれるたびにドキッ・・としてしまう。
久し振りのキスの後、この距離でこんな事を言われたら・・・。

「・・うん。」
「生涯放すつもりはない。」
「・・・うん。」

「行くぞ。」
「・・・うん!」

歩き出したカイの後を、タカオが追った。

結局は。
カイもタカオ馬鹿だが、タカオもカイ馬鹿なのだ。
一言で言ってしまえば、バカップル。


さて。
さっきのキスで、すっかり幸せに浸ってしまっていたタカオだが、
タカオは忘れていた。
カイのセリフ、
「言い訳ならゆっくり聞こう。無論、寝室で。」

・・・・・。



「・・・・カイの・・・・馬鹿〜〜〜〜〜〜!!!」

と、再び絶叫しながら、夜通し鳴き続けるタカオがおりましたとさ。

でも絶対、内心は幸せに浸ってますね〜♪





















end


日記に書いたのですが・・・「あしたのジョー」を見ていて
丹下段平の絶叫
「ジョー!!わしのジョー!!」
・・・・・・。
「わしのジョー」だけは・・・・さすがに無理だな〜・・・・・と(笑)。

カイならどうだろう?
「俺のタカオ」とは言わないな・・・「木ノ宮は俺のものだ!!」かな?
いや、それも違うような・・・・・。
う〜〜〜〜ん??
例えば??

という訳で書いてしまったものです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
(2010.6.3)


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