木ノ宮邸。
ある昼下がりの事だった。
「木ノ宮・・・。」
「どうしたんだ?カイ。」
「見ろ、ポイントが貯まったんだ。」
カイは何やらスタンプが一面に押されているカードを
誇らしげにタカオの目の前に突き付けた。
「?なんか知らねーけど・・・良かったな。」
ニッコリ笑うタカオ。
「ああ。ようやくだ。長かった・・・・。」
カイは握る拳を震わせた。
一方、タカオは心の底から不思議に思った。
──カイは一体なんのポイントを集めていたのだろう?
カイならチマチマ、ポイントなんか集めなくたって
火渡の財力を以てしたら、なんだってできるのに。
でもカイが嬉しそうだから、よく分かんねーけど、いいか。
と気楽に考えていたら。
「という訳で、行こう。」
「・・・・。どこへ。」
タカオは素直にキョトン・・・と瞳を丸くした。
「決まっている、教会だ。」
「きょうかい?」
タカオは何の事だろうと考える。
『教会』だとは一瞬たりとも考えなかった。
一体、何の『協会』なのだろうかと。
ベイブレードだろうか、それとも火渡と関係のある?
「ああ、教会だ。すぐに式を挙げるぞ!」
「式?なんの?」
「決まっている、結婚式だ。」
「結婚?誰と・・・誰が・・・・・?」
さすがにカイが何を言おうとしているのか察しがついたが
当たっていない事を心から願うばかりだった。
「決まっている。俺とお前だ。」
「なんでポイントが貯まったから結婚式なんだよ!!一体何のポイントなんだ!?」
「以前、お前のお爺様にお願いしたんだ。「タカオ君を下さい!」と。」
「・・・・は?」
タカオは心底脱力してしまった。その先は簡単に予想できた。
──ジッちゃん・・・・!
この・・・・くそジジイ〜〜〜〜!!
今度はタカオが拳を握りしめた。
しかしカイはタカオの様子など全く気にせずに続けた。
「するとお爺様は仰った。
『剣の稽古に通いなさい。
カイ君は素質があるから、この出席カードのスタンプが一杯になる頃には免許皆伝じゃ!!
タカオの婿となる者は、昔から龍心剣の免許皆伝者のみと決めておる!』と。
それで俺は時間を見つけては稽古に通い、そして今さっき・・・ついにポイントが貯まり、この巻物を頂いたんだ!
これぞ龍心剣の免許皆伝の証!!そしてお前は俺の嫁だ!!さあ、行くぞ!」
「いやだ!カイもジッちゃんも一体何考えてんだよ!!絶対、嫌だからな!?」
「木ノ宮。そんなに・・・嫌か?」
カイに背を向けてズンズンと立ち去ろうとしていたタカオは、この言葉にピクリ・・と立ち止まって振り向いた。
カイは真摯な瞳でタカオだけを見つめていた。
「な、何言ってんだよ!俺は・・・いつだって・・・・。」
カイの瞳は更なるタカオの言葉を待っていた。
「いつだって・・・カイが好き・・・・だから・・・・・。
でも!結婚とか、そんな急に言われても・・・!!」
「では急でなければ、いいんだな?」
「・・・・。」
「結婚しよう、タカオ。」
いつの間にかカイはタカオを抱きしめていた。
「ちょ、待っ・・・・!」
タカオは何か言おうとしたが、その言葉ごと、唇を奪われてしまって何も言えなくなってしまった。
唇を交わし、舌を交わして・・・・たっぷりと互いを味わった後
カイの腕の中でタカオは。
「で、でも・・・式とかは勘弁・・・・!
そんなモン、挙げなくたって・・・俺はずっとカイと一緒だから・・・・離れないから・・・・・・。」
「そうか・・・少々残念だが、お前がそうしたいと言うのなら・・・仕方がないな。」
そう言ってカイは微笑んだ。
タカオも幸せそうに微笑んだ。
その時。
「あの〜、カイ様?」
「なんだ、今、取り込み中だ。下がっていろ!」
「いえ・・・ですが・・・・もう、来てしまったので・・・・。」
「誰が・・・。」
と聞き返す間もなく現れたのは、世界的有名ブランドのデザイナー、○○。
「タカオ君、あなたにピッタリのウエディングドレスを作って来たわよ!
これを着たら、カイ様も、もう一度、恋に落ちる事、間違いなしよ!!」
「なっ・・・!」
そのド迫力に完全にタジタジなタカオ。
「さ、行くわよ?」
タカオの様子にお構いなしの○○は、タカオを引きずるようにリムジンへ乗り込んでしまった。
「なんだよ、ウエディングドレスって!そんなもん、着る訳・・・・・!!
ちょ・・・待て!嫌だ〜〜〜〜〜〜〜!!」
タカオの絶叫と共に黒塗りのリムジンは発車、そして彼方へと消えた。
「フッ・・・・。許せ、木ノ宮。やはりこうなる運命なのだ。
さて・・・・ドレス姿が楽しみだな。」
「カイ様、カイ様もお支度を。」
「わかった。」
カイはスマートにベンツへと乗り込むと、またしても彼方へと消えた。
末永くお幸せに〜〜〜〜〜vv。
end
よく行くお店のポイントが貯まったんです。
「これで500円off!!」と内心ガッツポーズしたら
レジ袋プレゼントだそうで・・・(涙)。
こういうものは500円券になるんだと勝手に思い込んでいました・・・。
落胆しながらも、レジ袋の柄を選んだんです。
無難に水玉〜これなら可愛いかな・・・と。
すると「はい、こんぺいとうですね?」
と言われて驚いてしまった。
突然、全く思いもかけぬところで自分の名を呼ばれたようで(笑)。
サイトを始めたばかりの頃は「こんぺいとうです!」と名乗るのが
なんとなく恥ずかしかったんですが
これだけ長く続けていたら、さすがに慣れます。
私の中でもすっかり定着しちゃったんだな〜と。
ちょっとしみじみ浸ってしまいましたv。
そんな事があって、ポイントの事が頭から抜けないままに妄想して日記に書いてしまった話ですv。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
(2011.5.27)