意識が・・薄らいでいく・・・・・。
俺は・・・ようやく・・・・・いけるのか?

タカオ・・・お前のもとに・・・・・・・・・・。





瞬間、フラッシュバックする記憶
俺の人生の全て。


荒んでいた幼少時代。

だが、タカオに出会って・・・全てが変わった。

出会いは最悪だったにもかかわらず
出会った瞬間から
抵抗し難い強力な何かに惹かれてしまうのを感じて。

気づけば俺はタカオを愛し、タカオも俺を愛してくれた。




今は・・・わかる。
今なら・・・・・わかる・・・・・・。



俺は多分、お前に出会うために生まれてきた。

次に生まれる時も、きっとお前を探す。

きっと?
いや、必ず・・・・だ。
なんど生まれ変わっても、俺はお前を探す。









タカオ・・・・。

そこに・・・いるんだろう?



さあ、早く・・・・・。


俺を、連れて行け────────────!!

















カイ・・・・。

カイ・・・・・・・。


カイ・・・・・・・・・・・!





聞こえる・・・お前の・・・・声が・・・・・・。

俺は・・・ようやく・・・・・。











「カイ・・・・。」
「・・・タ・・・カオ・・・・・・・・。」

その時。

辺りの様子が一変した。
柔らかな光、淡い色調。
そして・・・・タカオ、お前が幼い日の姿のままで
俺に手を差し伸べて、穏やかに笑っている・・・・・・。


ああ・・・・・・。
やっと、お前に会えた・・・・・・・。


「カイ。よく・・頑張ったな。も、いいんだぜ?
一緒に・・・行こう?これからは・・・ずーっと一緒だ。」
「タカオ・・・。」

迎えに来たタカオの姿。
赤いジャケットに帽子を後ろ向きにかぶって。
無邪気な笑顔もあの頃のまま。

愛しい、俺の・・・・・。


ふと自らを見ると、俺も幼い日の姿だった。
ノースリーブの黒シャツに白いマフラーをたなびかせ・・。

「・・・何故俺は子供の姿で・・・・。」
「魂だけの存在になったからだよ。だから好きな姿でいられる。
ほら・・・カイの体はあそこだ。」

タカオがスッ・・・と指差した。
どうやら俺たちは宙に浮いていた事に気づく。
下のほうに目を向けてみれば
そこには豪華なベッドに横たわった、一人の老人の姿。
一瞬前までの・・・・俺だ。

「さ、行こうぜ?」
「ああ・・・・そうだな・・・・・・。」

年老いた体になど未練はなかった。
修羅の道は終わった。
これからは、お前とずっと・・・・・・・。

俺はタカオを抱きしめ口付けた。
あまりにも長い時の間、この瞬間を待っていた。
タカオの体、唇の感触に感極まって涙しそうになる。
魂だけの存在なのに、ちゃんと触れた感覚があるように思えるのは何故だろう?
しっかりとした質感があるのに、どこか融合するような溶け合ってしまったような・・・そんな感覚。
とても心地よい・・・暖かい感覚。
これが魂というものなのだろうか。

「へへっ・・・・。」
タカオが俺の腕の中で昔のように笑う。

「カイ。俺、カイのことずーっと見てたんだぜ?
ずーっとそばにいたんだ。
カイは気づいてなかったみてーだけどな。
先に逝っちまって・・・ゴメン。辛い想いさせて・・・悪かったな・・・・・・。」
「・・・・・・。」




   十数年前────────。


   最期にニッコリと笑って
   苦しいだろうに、でも必死に言葉を残してくれたお前。

   「カイ・・あり・・・が、とう・・。

   あい・・・して・・る・・・・・。

   かならず・・・また、あえる・・・・・。


   おれ・・たち・・は・・・えい・・え・・ん・・・・に・・・・・・・。」



   途切れた言葉。







   「タカオ・・・。
   続き・・・・・。「永遠に・・・」なんだ?聞かせてくれ・・・・。」

   返事はなかった。

   「目を・・開けろ・・・逝かないで・・・・くれ・・・!タカ・・・オ・・・・。」

   さっきまで動いていた。さっきまで・・・。
   何故、人はこうも簡単に・・・・・。

   「お前さえ・・俺は、お前さえ傍にいてくれたら・・・それだけで・・・・・・!!
   お前・・だけ・・・が・・・・・・!タカオ・・・・・・・!!」

   みるみる冷たくなっていく、タカオの体。
   俺は狂ったようにお前の体を抱いて、愚かにも何とかして暖めようと・・・・・。





   その後、一体何日そうしてタカオの体を抱き続けていたのか・・・・記憶がない。
  









  
   ふと、「その時」を思い出した。
   お前を失ったあの日からの地獄。
   あの日から、俺にとって世界は色彩をなくし意味のないものとなった。
   俺は機械のようにただ、仕事だけの日々。


   お前は、どこまでも・・・清く・・・。
   最期の瞬間まで、俺を救おうと・・・していた・・・・。

   逆に俺は
   お前さえ傍にいてくれれば・・などと、最期の瞬間まで・・・・。

   俺は、エゴの塊だ。

   そんな、詮無いことをを何度も何度も考えて・・・後悔して・・・・・。

   だがお前はあれからもずっと俺と共にいてくれたと言う。
   そう、思うと・・・あの地獄の日々も俺は幸せ・・・だったのだ・・・・。
   そしてあの日々にも何か・・・意味があったのだろう・・・きっと・・・・・。
   愚かにも、それに気づけなかった。

   だが、今なら・・・・。








「でもこれからは、正真正銘!一緒だからな?
傍にいるのに気づいてもらえねーって、結構キツイんだぜ?
俺、いっぱいカイに話しかけてたんだけどな〜。
・・・・・・・・。
カイが苦しんでるのに何も出来なくて・・・ゴメン。
何かしたいのに、言いたいのに全く伝わらなくて・・さ。俺も辛かった。
まーでも、俺が先に死んじまったのが悪いんだけどな〜。」

ははは・・・と、はにかんで笑うタカオを
俺はもう一度、こみ上げる感情のまま強く抱きしめた。

無条件の・・・不思議ないとおしさが
まるで満ち潮のように胸に広がり、そして溢れていく。



今はわかる。

俺とお前は・・・魂から深く結びついていたんだ。
それは同性だとかそんな程度の障害はなんでもないくらいの───深く、強い絆。

タカオのあの言葉の続き。

「俺たちは永遠に共に在る。」






今なら・・・わかる。

そう、俺は・・・・「思い出した」。

生まれる前の遠い記憶。



お前は俺の

魂の伴侶だ──────。









「カイ・・・会いたかった。やっと会えた・・・・。」
「俺も・・・会いたかった・・・・。お前だけに・・・会いたかったんだ。」





タカオは俺の手をしっかりと握った。
何度となく俺を救ってくれた、タカオの手。


さあ、行こう──────。



俺とタカオは
しっかりと手を絡めあい、共に
吸い込まれるように・・・光の中へ・・・・・・・。





これからも、共に。

ずっと・・・永遠に・・・・一緒だ────────────。













end




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日記を見て下さっている方はお分かりかと思いますが
数日前の日記で書いた話が元になっています。
そちらにも書きましたが、「永遠の抱擁」という記事から妄想が発展してしまったものです。
(5〜6000年前に埋葬されたらしい、抱き合った男女の遺骨が発見された・・という記事)
カイとタカオの死についてはあまり考えないようにしてきたものの
彼等は魂のレベルで深く結ばれた二人だと信じていました。(言っててちょっと恥ずかしい・・・笑)
元々あった考えが、この記事に触発されていっきに・・・・書いてしまいました。
ちょっとアブナイ路線の話なので、拒否反応を示される方もいるのでは・・と思ったのですが、止まりませんでした。
彼等はきっと何度生まれ変わっても
カイはタカオを、タカオはカイを探すんでしょうね。
探して探して・・・出会っていがみ合って(笑)・・・・愛し合って・・・・vv。

えっと・・これが一応カイタカ番外編の最終話になるのかな?
さすがにこの先は書きようが・・・(苦笑)。
その間の話も全てすっ飛ばしていきなり最終話って一体・・。
大学や卒業後の話はあまり具体的な構想はないものの、一応多少なりとも考えや設定があったりします。
それらの話も書けたらいいな〜、書きたいな〜と思っていますがどうなる事やら・・・・。

あ、ところで私は生まれ変わりを絶対に信じてるとか
そういうアブナイ思想は持ち合わせておりません。念のため(笑)。

それでは、ちょっと別の意味でアヤシイ話をここまで読んで下さりありがとうございました!!
(2007.2.13)



果てしなくどうでもいい事ではありますが
タカオは魂だけの存在になってもカイとずーっと一緒にいたと言っていましたね。
カイがタカオを想って・・じ・・・自慰・・・しちゃってる所も見ていたんでしょうね〜v。
タカオたん、俺が握ってやりたい〜とか咥えてやりて〜とかその他モニョモニョ・・・
一生懸命、触れなくても触ってあげてたんでしょうね、きっと!
なんか究極のH?そんな感じが・・・・なんて事まで考えてしまったり・・。
あの、どうか引かないで・・・・(切実)。