カタ・・・カタカタ・・・・・。
ビー・・・ビビ・・・・・・。




「いいぞ・・・。うまく行きそうだ・・・。」
「ええ。このファクターを変更した事は成功でした。
飛躍的に数値がアップしました。
でもまだ、これでは・・・・。もっと実戦を考えて・・・・。」



BBAベイブレード開発室。
その日も夜遅くまで篭って、熱心に研究を続ける二人。
最近は起きている時間の殆んどをBBAで過ごしていた。
備え付けの仮眠室で寝てしまう事も多かったので
もうすっかり・・・ここに棲みついてしまったような・・・・。
一応、研究所近くに独身寮があり、二人ともそこに部屋を持っていたのであるが、
いつしか研究に熱中するあまり、部屋に戻るのも億劫になってきた。


「さて・・・・今日はこの辺にしておきましょうか。一応、ひと段落つきましたし。」
「ああ、そうだな。」

仁は大きく伸びをした。

「コーヒー、飲みますか?」
「お、すまないな・・・。」

実験室の片隅に置かれていたコーヒーメーカーからマグカップに注ぎ
ミスターBと呼ばれる浅黒い肌に長いプラチナブロンドの髪を束ねたその男は、仁にコーヒーを手渡した。


コーヒーはブラック。
そんな好みまでお互い周知の仲である。

緊迫し続けていた実験室が、ほっとした安らぎの空間に変わった。


「このスピンギアシステムが完成したら、ベイブレード界は大きく変わるな。」
「楽しみですね。」
未来に想いを馳せ、お互い顔を見合わせ満足げに笑った。

「完成したら、俺はちょっと姿を消すからな?」
「・・・・・・大変ですね。弟思いの忍者殿は。」
「ふふふ・・・・。まあな。
だが、タカオが青龍でなかった場合は、容赦なく切り捨てるつもりだから。」
「そんな事言って。タカオ君がそうだと疑っていないくせに・・・素直でない・・・。」

ミスターBは穏やかに微笑みながら仁をからかった。

「全く・・・タカオ君の話になると、本当にあなたは幸せそうに笑うんですね。
・・・・少々妬けます。」
「え?」

ミスターBは自分のマグカップを傍らの机に置くと、仁の頬に手をかけた。

「お・・・おい・・・・。」
戸惑う仁の瞳の奥に期待の色が過ぎったのを、ミスターBは見逃さなかった。

「ふふ・・・・・・。」
だが、ミスターBは仁から手を離すと何事もなかったように話を戻す。

「朱雀は主任の息子さん。
白虎はあなたが見つけてきたんですよね?中国のなんとかいう民族の次期、長・・・でしたっけ。」
「あ・・・・・ああ・・・・・。牙族の・・・金 李。」
「となると後は玄武ですか・・・・・。」
「なあに、きっと見つかるさ!四聖獣のうち3人が揃ったんだ!
きっと玄武もタカオとそう歳の変わらない少年が・・・・!」

目を輝かせて語る仁に、ミスターBはクスクス笑って言った。
「ほおら・・・・ね?やっぱりタカオ君だと信じてる。」
「・・・・・・。」

「さあ、今日くらいは寮に戻りましょうか。もう3日も戻ってないのだから。
たまにはお風呂に入らなくては。」

ミスターBは空になったマグカップを仁から取り上げた。
そして仁の座る椅子の後ろの机に両手をついて・・・
つまり仁の両サイドに手を突いて至近距離で見つめながら。
仁は思わずミスターBの不思議な色をした瞳に引き込まれそうになる。

「私も青龍はタカオ君だと信じてますよ。
あなたの家には代々龍の血が受け継がれているから・・・・。
主任の家に代々朱雀が伝わっているように。
ただ、親から子へと伝わっている訳ではない。
ずーっと以前に出現した朱雀が消えた後、
百年二百年の空白の時を経て、子孫であるカイ君に受け継がれた。
ただ今回のように、四聖獣が同時期に揃った事は有史以来記録がありません。
大抵は朱雀だけ・・・青龍だけ・・・・。
それが今、朱雀、白虎と揃ったのです。これで青龍、玄武が現れたらと思うと・・・・。
私も少なからず・・・・そうですね、あなた流に言うならば・・・ワクワクしています。」

「・・・・そんな事をこの体勢で言うか?普通・・・。」
「ふふ・・・そうですね。でもあなたと私はこういう話で繋がっている間柄ですから・・・。」
そしてミスターBはほんの数cmの距離を縮め仁の唇を塞いだ。

「・・・・・歯、磨いてないぞ?」
「構いませんよ?あなたなら。たとえ3日お風呂に入ってなくても。」

「いい趣味してるよ・・全く・・・・。」
「お互い様です。」
そしてニッコリと笑った。

「さあ、帰りましょう。部屋に戻ったら・・・本格的に可愛がってあげますよ。」
「・・・・・。お前のそのバイタリティはどこからくるんだよ。俺は寝たい・・・。」
「寝ててもいいですよ?寝ていられたらの話ですがね。」
「・・・お前ってヤツは・・・・。」

そして二人、実験室を後にした。




間もなく伝説が開放される。

そんな予感をそれぞれの胸に秘めて。



ベイブレード・バトルトーナメントまで、もうすぐ・・・・。









end
novel top


書いてしまいました。B仁。
なんか最近異常なほどの仁萌えで。どうしましょう・・・?

原作が始まる前を捏造してみました。とりとめもない話ですいません。
短いし・・下品。しかも表ギリギリの表現ありで。申し訳ないです・・・!!
仁が言った「歯を磨いてない」というのは、「その日の夕食後から・・」という意味です。
「3日間磨いてない」という意味ではありませんので(笑)!

仁は同世代から見たら可愛くてしょうがないのではと最近思いはじめました。
一緒に研究していたミスターBなんて、きっと放っておかないんじゃあ・・・。
今まで仁は最強の攻めだと思っていたのに遂に仁受けにまで手を出してしまいました・・・・。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
(2006.2.24)