翌朝。





「おい・・・・木ノ宮。起きろ!」

むにゃ・・・むにゃ・・・・・・・。

「木ノ宮!!」

ぐぴ〜〜〜〜〜ぐぴ〜〜〜〜〜〜。

「・・・・・・今日も万博に行くんじゃなかったのか?」

「は!」
そうだった。
今日は朝から万博見学できるんだった。

どうにか目だけはムニ〜〜〜〜〜っとあけたタカオ。

「いい加減起ろ。」
時計は8時半を指していた。

開場は9時なので、気合を入れて入るには遅すぎる時間である。
勿論、カイのコネでまた、関係者用入り口から入れる事になっているらしいが、
いくら昨夜寝たのが遅かったとはいえ、そろそろ起きなくては。

ぬぼ〜〜〜〜〜〜〜っと体を起こすタカオ。
だが、既に着替えたカイの姿を見た瞬間、

「あ〜〜〜〜〜っ!!!!」
と目をパッチリ開けてカイを指差し叫んだ。

「なんだ。」
と不機嫌そうにカイが聞く。

「俺・・・・カイに着て欲しいものがあるんだ。」
「何?」
「昨日、カイに着て欲しくて俺・・・買っておいたんだけど・・・・。」
タカオが上目遣いでカイを見た。
「着て・・・・くれるか?」

おずおずと紙袋からタカオが出したモノ・・・・それは・・・・。

「こ・・・・これを・・・・俺に・・・着ろと言うのか!?」
「うんvv。俺の分もあるんだぜvv。ホラvv。」

カイにとタカオが言ったものは、緑色のTシャツで胸の辺りには何やら目や口のようなものが描かれている。
もう一方のタカオのは黄緑色のTシャツ。これも胸の辺りに目や口が描かれていた。
そう、これは・・・・・・。

「はいv。カイはモリゾーな?」
「・・・・・・・。」

カイは引き攣り笑いを浮かべ、何とかして断ろうと無難な言葉を必死に探した。



「どうしたんだ?あ!お前、もしかしてキッコロの方がいいのか!?」
「ち・・・違う!!」
「じゃあ、はいvv。」
あくまでニコやかにモリゾーTシャツを渡そうとするタカオ。
普段なら可愛い・・・vvと思ってしまうその笑顔も、今は悪魔の微笑みに見えた。

「う”・・・・・・・・・。」


カイの様子にやっと気づいたタカオは
「カイ・・・・もしかして・・・・着たくないのか?」
タカオが大きな瞳に憂いを込めてカイを見上げた。

火渡カイ、究極の選択の時である。






「そ・・・・そんなこと・・・・ある訳・・・なかろう・・・・・。」
引き攣った笑顔で、かろうじて言った。
カイは・・・惚れた弱みか・・・タカオのこの瞳に・・・・弱かった。


「そうか?良かったvv。ハイvv。」
今度こそ・・・・カイはタカオからモリゾーTシャツを受け取ってしまった。
異様なオーラを放つ、モリゾーTシャツ。

こ・・・これを・・・・本当に・・・俺が・・・・・・・・・・・・!!??
夢だと思いたかったが残念なことに・・・夢ではなかった。





それを見届けたタカオは嬉しそうにキッコロTシャツに着替え始めた。




カイも観念してモリゾーTシャツに袖を通す。





「うわ〜〜〜〜〜!!カイ、可愛いぜ!ホント!!」
男が可愛いと言われて嬉しいはずもなく。


「ほら!!俺もvvv。」

と言われてタカオに視線を向けた。
タカオがニカッと笑って身に着けたキッコロTシャツを指差している。

か・・・可愛い・・・・。
たった今、男が可愛いと言われて嬉しい筈がないと思ったばかりだというのに。


タカオはそんなカイの腕を引っ張って、カイを大きな鏡の前に連れて行った。

「ほらvv。二人並ぶと・・・可愛いだろ?
昨日これをペアで着てるカップル見てよ〜、俺もやってみて〜な〜って思ったんだ。
ありがとな?カイvv。」

タカオがカイの腕をとり、腕を組む。
人前では決してしない事。
鏡の中の自分たちを嬉しそうに眺める。


男同士だと・・・普通のカップルのようにはいかない事が多い。
こんな・・・・事くらいで(でもないが・・・苦笑)
こんなに喜んでくれるのなら・・・
まあ、いいかと思うカイがいた。
自分さえ、たった一日、服装の好みに目を瞑れば良いだけのこと。



「でさ〜、カイv」
「?」
「帽子もあるんだけど。」

タカオは緑色のモリゾー帽子、黄緑色のキッコロ帽子を袋から取り出して見せた。

「・・・・・・・・・・・。」
「ホラvv。可愛いだろ??」
タカオはカイにはモリゾー帽子を被せ、自分はキッコロを被って鏡の中の自分たちを指差し大はしゃぎである。

大喜びのタカオとは対照的に、
真っ白になって動けない・・・・・カイがいた・・・・・。


「き・・・・木ノ宮・・・・・すまない・・・・・。帽子だけは・・・勘弁してくれ・・・・・・。」








結局、
タカオはキッコロのTシャツ、帽子。
カイはモリゾーTシャツ。

この姿で今日も万博見学vv。

火渡系列のホテルだけあって、普段のカイを知る者も多く、
そんな彼等はカイのこの出で立ちを見て、硬直してしまった。

「カ・・・・カイ様・・・・・!?」



カイは開き直ったのか、心なし頬を染めていたが
いつものようにホテルのロビーを後にすると
運転手に
「では頼む。」
と告げ、タカオと万博開場へ向かった。















今日もいっぱい回った。

大人気パビリオンは、またカイの必殺技で予約を取って見てきたし、
色んな外国館も沢山回った。
みんないい感じの人ばかりだったし。

カイとお揃いのTシャツ着て
いっぱい笑って
いっぱい走って・・・。

いい天気だったな〜〜。
日差しが眩しくて。

芝生で寝転ぶと、気持ちよくって。
日陰の芝生で昼寝もした。

モリゾーとキッコロとも遊んだし・・・・。


そうそう!!
仕事してるカイも見れたし!


間違いなく、
この夏最高の思い出になると思う。


それにしても。
カイは・・・どう見ても、本物の王子様より、ずっとカッコよかった!!
絶対!!
なのに無自覚だもんな〜。



・・・・・。
この万博に
他の誰とでもなく、カイと行けた事が
何よりも楽しく幸せだった。






夕方、車に乗り込む頃には
クタクタに疲れちゃって・・・・・

俺もカイも
車に乗り込むなり
爆睡しちゃって。









あとからカイのところの運転手さんに聞いた話だけど
カイがあんな、歳相応の子供のように
(・・・っていってもカイは高校生だから、子供って言うのもどうかと思うけど)
幸せそうに車で熟睡する姿ははじめて見たそうだ。




そして。




これは内緒なんだけど。

この運転手さん、
あんまりカイと俺が幸せそうに寝てるから
思わずデジカメに・・・写しちゃったんだって!

その写真を貰っちゃったんだ・・・・!!




俺がカイに寄りかかってカイは俺の肩を抱いて・・・・
なるほど・・・・幸せそう・・・・。
いや、すっげ〜〜〜〜幸せvvvv。




この写真と
思い出は
俺の宝物だ。




カイ・・・。




本当に、ありがとな。
楽しかったぜ。


また・・・・どこか遊びに行こうな。








緑がとても綺麗な
ある、夏の日に・・・・・・・・・・・・・・・。








end

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べ・・・別に私は万博関係者の回し者じゃありませんが・・・!
「HIWATARI館が・・・」と妄想した瞬間から色々回ってもカイタカしか頭になくて・・・(末期です)。

このキッコロ、モリゾーTシャツ、帽子。
欲しかったんです・・・・。でも!!!高かったんです・・・・・!!(滝涙)
だから買えませんでした。だから、せめて!!タカオやカイに着て欲しかったんです!!
・・・万博回ってても、頭はカイタカだったので、この帽子やTシャツ見て・・・・
カイやタカオが着たら・・・・・vvvv。
と妄想してしまい、こんな話ができました。重ね重ね・・・・何しに行ったんでしょうね・・・。

結局何が書きたかったかと言うと。
スーツ姿のカイ様が何処かのトップと対等に渡り合うところ。
心と心の対話を、いとも簡単にやってのける・・・
たとえ外国人で言葉なんて通じなくても・・・・そんなタカオと、それにどこか憧れに似た感情を抱くカイ。
そしてモリゾーキッコロTシャツを着るカイタカ。
歳相応の、笑顔であぞび捲くるカイタカ。
それを書きたかったんです。
うまく書けたかどうかは・・・・別として・・・・(滝汗)。

楽しかったですvvv。

ここまで付き合って下さり、本当にありがとうございました!!
(2005.8.23)