月明かりだけが部屋を照らしていた。

部屋の戸口に立った、俺の存在に気付いたカイはふと振り向いた。
振り向いたその顔、白い肌、ツートーンの髪。
そして流し目のように俺に向けられる、薄く伏せた瞼から覗く紅い宝石。
蒼い月明かりに照らされて、とても幻想的で、俺は思わず目を見張った。

「綺麗だ・・な・・・。」
俺は思ったままを口にすると
「ああ。今日はちょうど満月のようだ。」
カイは窓の外の空を見上げた。
「違げーよ。月じゃなくって・・・お前。」
そう言いながら、俺は背中からカイを抱きすくめる。
「・・・。馬鹿か、貴様は・・・。」
俺は抱きしめたまま、最近すっかり伸びてしまった髪をそっとかき分け
カイの項を露わにした。
それだけで俺は胸が高鳴る。
欲望が高まるのを感じる。
普段はマフラーで隠されてしまっている、そこ。
隠してるの、絶対、正解。
だってカイの首ってヤバ過ぎる。
白磁のようにどこまでも白くて、すらっと長い綺麗な首。
それが月の光で更に白さが際立って見えて、本当に綺麗だ。
首だけなのに、こんなに色気があって。
こんなもの、他の奴には見せられない。
マフラーを解いた瞬間は、俺も未だにドキッとする。
カイとこういう事、スるの、何度目か分からない位だってーのに。

その項に、引き寄せられるように、唇をそっと落とした。
「・・・・っ!」
それだけで胸が高鳴るのは俺だけじゃない。
たった、これだけの事でカイの全身に痺れが走っているのが
カイを抱いた俺の手に、直接伝わってくる。
そう実感できるのが嬉しくて、何よりも俺がカイの首筋の甘美な味を楽しみたくて舌を這わせる。
「・・・、・・・っ!」

───たまらない。

そう思うのは俺?それともカイ?
首筋を、項を執拗に攻める。

───たまらない。

髪の生え際をペロッと舐めると
「・・っ、あ、ああ・・・っ!」
まだキスもしてないのに。
肝心な所には触れてもいないのに。
震える肩、切羽詰まった息遣い。

───たまらない。

つい、もっともっと味わいたくなる。
「・・、・・・っ!!」
カイは首だけだってのに、息絶え絶えで。
「・・・も、この・・・っ!」
抵抗しようとしてるんだけど、弱い弱い。
だから当然、無視。
自分の欲望の赴くままに首筋を味わい、カイの息が乱れていくにつれて
だんだん・・・首だけでどこまで乱れるのか、試してみたくなってきた。

カイは首が弱い。
だから首を隠すように、いつもマフラーで覆う。
それを解けるのは俺だけ。
そう思うと、更に興奮していく俺がいる。

「カイ・・・。」
「・・・やめ、ろ・・、あ・・・っ!」
俺の腕の中で必死にもがくカイ。
ああ・・・・たまらない・・・・。
と、その時。
「き、木ノ宮・・・・っ!」
さすがに限界?
しかし俺は気にしたふうもなく答えた。
「なに?」
「いつまで・・・、っ!そ、そんな所を・・・ネチネチと・・!」
「だって。お前、ここ、好きだろ?」
そう言いながら、俺はまた舌を這わせた。
「・・っ!!・・、す、好きじゃない!」
「そうかな〜。だって、ほら、お前のココ。」
そう言いながら背中から回した俺の手が、服の上から胸のその部分に触れた。
と同時にカイが唇を噛んで必死に耐える。
「今初めて触ったのに、もうこんなに硬くなってるじゃん!
服の上からだって・・・見ただけで分かるくらいに。」
ニカッと笑って言う俺に
「・・・っ、き、貴様・・・・・。俺をからかう気か・・・!」
カイは不穏なオーラを纏わせながら、ゆっくりと振り向いた。
乱れた髪の間から、紅い瞳が俺を睨みつける。
「うわ・・・わかった、わかった!もう、首はシないから!!」
疑わしそうに俺を見据えるカイ。
その紅い瞳が本当に綺麗で。
睨みつけられているのに、見惚れてしまう。
我ながら・・・俺は心底カイが好きなんだな、と思ったその時。
カイの手が俺の首に回されて、そして唇を押し付けられた。
「・・・・!!」
情けない事に、今度は俺の方が焦っちまって。
そうこうしているうちにカイの舌が押し込まれてきて・・・
ここまで来ると、もう本能。
無意識にカイの舌を絡め取った。
唇を押し付け合い、舌を絡め合い、さすり合い・・・・。
ああ、カイ、カイ・・・・。
カイの唇、カイの舌、至近距離の紅い瞳。


今夜も俺はカイに溺れる。
今夜もカイは俺に溺れる。


月が二人を蒼く照らす夜に──────。






















end

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皆既月食を堪能して、気分はお月様〜♪な感じのまま妄想してしまって日記に上げた話です。
月明かりの二人・・・のつもりが
書いているうちに首筋を執拗に攻められるカイを、執拗に攻めるタカオを書きたくなってしまって(汗)!!
カイは首筋が弱いんじゃないかな〜と勝手に妄想してますvv。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!
(2012.12.29)