これは「寿くん告白モノ」のボツネタです。
つまりは「長すぎた夜」のボツネタ。
ですが設定その他が全く異なります。
途中でボツにしたものなので説明不足でしかも未完成ですが
それでよければどうぞお読みくださいvv。
「別に大したことじゃないよ。吾郎くんは海堂のエースになるんだ。
僕と黄金バッテリーを組む為に、それは必要だろ?」
「・・・・サンキュー、トシ・・。」
「どうしたんだい?吾郎くんらしくないな。」
「・・・・。俺だってなー、心の底から感謝する時だってあら〜!」
すぐムキになる。
全く・・・・子供っぽいというか、可愛いというか。
夢島へ来て、吾郎と寿也は班が分かれてしまった為、またポジション別の練習も始まってしまった為
共に練習する機会は無かった。
だが、この夢島へ来て以来、正規の練習後、夕食までの僅かな自由時間にキャッチボールをしていた。
「だがな、外野の練習もなかなか面白いぞ?
まだまだ、俺の知らない野球があんだなーと思うと嬉しくなっちまう。」
「・・・・・・・。吾郎くんらしいね。
でも、吾郎くんは外野じゃない。ピッチャーだ。」
寿也は吾郎にボールを渡した。
それを受け取りニヤリと不敵に笑む。
「そんなことは・・・・・・・・・・。」
吾郎はグローブのなかで球を握り片足を上げて構えた。
渾身の球が寿也のミットをめがけ、うねりを上げて空を切り一直線に・・。
ドスッ・・・・・・・・!!!
「言われるまでもねーや!」
思ったとおり
吾郎くんはいつも前向きだ。
いつもアグレッシブでピュアで自分の信念を・・・・決して曲げたりはしない。
そんな君を僕は憧れ目標にして・・・ここまで来た。
吾郎くんとなら
海堂を敵に回すのも面白い。
僕は今でも・・・そう思っている。
無邪気でやんちゃできかん坊で
調子付かせたら手がつけられない、天然野球小僧・・・・。
吾郎くんとなら・・・・・。
僕は・・・・
最近、どうかしている・・・・・・。
はっ!・・・しま・・・・・・っ・・・・・・!!
「・・・・・・。トシ・・・・。トシーーーーーッ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・!」
「・・・・・。よかった・・・・。気がついたみてーだな。
ったく・・・・なに考えてたんだよ。
薄暗かったとはいえあんな球、お前が取り損ねるようなモンじゃねーだろ。」
「・・・・・・・・・・。ごめん・・・・。」
「・・・・・・。話せよ。どうしたんだ?一体。」
「いや・・・大した事じゃないから。」
「天下の佐藤寿也が投球練習中居眠りしててもか?
それで大した事じゃねーって?そんなの、信じられっか!」
「・・・・・・・。」
吾郎は寿也の額にそっと手を当てた。
「ご・・・・吾郎くん?」
「ミットに当たってからお前のここに当たったから・・・・少しだけ衝撃が弱まってこの程度で済んだんだ。
俺の球で・・・・・・・お前に・・・・なんかあったら・・・・・・・・・俺・・・・・・・・・。」
しまった。
吾郎くんは・・・・・吾郎くんのお父さんは・・・・・デッドボールで・・・・・・。
以前、吾郎くんはデッドボール恐怖症に陥った事がある。
なんとか復活したといえ、未だ吾郎くんの心の中で・・・・・・。
寿也の額におかれた吾郎の手を寿也がとった。
「ごめん、吾郎くん・・・・。」
「・・・・。」
「僕は大丈夫だから。今度からは気をつける。・・・・悪かった。」
「・・・・・約束だぞ?」
「うん。約束する。」
「・・・・・よし。でも・・・・ホント何考えてたんだ?もしかしてカノジョとか?」
「な・・・・違うよ!僕は・・・・!」
寿也はまだ吾郎の手を取ったままだった。
吾郎が突拍子もない事を言い出し、また完全な的外れでもない気がして慌てて焦ってしまって 。
吾郎の手を取ったまま起き上がろうとした。
その反動で吾郎は寿也に引っ張られる事になり・・・・そして・・・・・・・・・・。
「ん!?・・・・・ふぁっ・・・・・・・!!??」
唇に・・・・柔らかな・・・・甘い感触・・・・・これは・・・・・!?
「う・・うわっ・・・!」
・・・・・・・・・。
「ト・・・トシ・・・・・。今の・・・・もしかして・・・・・。」
「・・・・うん。もしかしなくても・・・・・。」
「は・・・・ははは・・・・・。」
「・・・・・ゴメン、吾郎くん。」
「いや・・・・いいって・・・・・。わざとじゃねーし・・・・。」
「そう・・・不可抗力だ・・・・・。でも。」
「?」
「でも、どうやら・・・・分かった。」
「何を?」
「・・・・・・・。今は言えない。」
「なんだよ、らしくねーな!勿体つけんなよ。」
「今度。機会を見て必ず言うから。」
「は?今度も今もどうせ言うなら言っちまえよ!」
「・・・・・・。じゃ・・・・・言うけど。」
「おお!言っちまえ!」
「・・・・・・好きだ。」
「・・・・・・は?」
「だから。僕はどうやら吾郎くんが好きみたいだ。」
「俺もトシが大好きだぜ?」
「そうじゃなくて。」
寿也はもう一度吾郎の手を引いて引き寄せた。
そして唇へ触れようと・・・・・・。
「わ・・・・わ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
吾郎は慌てて飛びのいてしまった。
「分かった?こういう事。」
ニッコリ笑う寿也。
「お・・・お前・・・・・・・。」
「吾郎くんはどう?」
「どうって・・・・・・・。」
「吾郎くんが言わせたんだよ?僕はもう少し君の気持ちを引き出してから言おうと思ったのに。
でも、告白した以上、後に引く気はない。」
「お前・・・・頭打ってどうかしちゃったんじゃねーのか?」
「僕はいたって正気だよ。」
「・・・・・・・・・。」
「大丈夫。勝算はある。でも無理強いする気はないから気長に行かせてもらうよ。」
「何言って・・・・・・。」
「ふふ・・・・。手当てしてくれてありがとう。じゃ、また明日。」
(2004.4.6)
なんとなく無理な展開が気になって結局ボツにしたもの。
寿也は吾郎の球を取り損ねたりなんかしないだろうと思ったのもあります。
たとえ何か悩みがあっても。天才的なキャッチャーですからv。
この先を考えるのも大変そうだったし・・・。
↓こんなのも残ってた。ちょっとだけどドウゾv。
今までは離れていたからうまく均衡を保っていられた。
だが、海堂を目指し始めた頃から
いつも吾郎くんと一緒にいるようになってから
ずっと気付かないフリをしてきた・・・と言う事に気付かされた。
これからも気付いてないフリを・・・僕はできるだろうか。
苦しい。
吾郎くんのボールを受けるのは何よりも楽しい。嬉しい。
だが・・・・・苦しい・・・・・・・・。
パシッ。
寿也からボールを受け取った吾郎は不機嫌な顔をした。
「・・・・・・・・・・・・・。今日はもう、やめよーや。」
「え・・・。」
「上の空で俺の球、キャッチされてもなー。ま、そんな時は休んだ方がいいって。行こうぜ?」
吾郎はグローブを外して歩み寄り、寿也の肩をポンとたたく。
気にするなって・・・・。
吾郎はそう言いたいのだろう。
寿也は自己嫌悪に陥った。
外野の練習をさせられて吾郎にとっては寿也とのこの時間は貴重だったはず。
自分が邪な想いに囚われたばっかりに。
「でも、俺の球ってお前にとっちゃー上の空でも取れちゃうんだなー。
ちょっと傷つくけど、さすが俺の恋女房だけあるぜ!」
吾郎は立ち上がった寿也の肩に腕を回して笑った。
他人を気遣うのが苦手な吾郎なりに寿也を励ましているのだろう。
恋女房。
僕は・・・・このまま・・・・・・・・・。
ダメだ。
もう・・・・これ以上・・・・・・・。
「ご・・・・ろう・・・・くん・・・・。」
「あ〜?」
寿也は回された腕をすり抜けた。
「僕は・・・・・。」
「・・・・いいって、調子悪い時は誰にでもあら〜。気にすんなって。」
「そうじゃない。
僕は・・・・。
小さい頃、吾郎くんに野球を教えてもらって
吾郎くんに憧れを抱きそして目標にしてきた。
ムキになってライバル意識を燃やしたりしてきた。」
「・・・・・・。」
「でも・・・・違う・・・。違うんだ。」
苦しそうな寿也。
「どうしたんだよ、おまえ・・・。」
寿也が何を言いたいのか、吾郎にはさっぱり分からない。
ここまでですv。なんか収拾つかなくなってこれもボツ。
押しが弱い気がしたのが一番の理由かな。