青年寿也は、バッタリ出会ってしまった少年吾郎を目の前にして立ち尽くした。
(ご、吾郎くんだ・・・。小学生の・・・生意気そうに僕を見上げてる・・・・。)
「吾郎くん・・っ!!か、可愛い・・っ!!」
あまりの可愛さに耐えかねて、寿也はむぎゅーーーーっと少年吾郎を抱きしめた。
「い、いきなり何すんだよ!このヘンタイ!!」
「ヘンタ・・・。ぼ、僕はその・・・吾郎くん、僕がわからない?」
「わかる訳、ねーだろ?俺にはお兄さんみたいなヘンタイの知り合いは、いねーっつーの!!」
「酷いな〜。それもこれも、みんな君が可愛すぎるからいけないんだよ?
こんなに可愛いのに、こんな頃から自覚なしなんだから・・・だから次々男達が君に・・・
少しは僕の苦労も分かって欲しいくらいだよ。」
力説しながら、寿也は愛おしそうに至近距離で吾郎を見つめ、頬に手を添えた。
「このほっぺなんか犯罪レベルだ・・・!!」
寿也はすっかり恍惚状態だ。頬にすりすり・・・。
「わ、わ〜〜〜!!やめろったら!!」
そしてようやく解放された吾郎だが、寿也はどこまでもマイペースでニコニコ。
「ったく、なんなんだよ、もー。」
吾郎は呆れてブツブツと文句を言っていたが、突然何か思い出したように言った。
「あ・・・!」
「・・・?」
「そうだ・・お兄さん・・・なんか・・・・。」
「どうかした?」
そうなのだ。言う事といい、やる事といい、この表情といい。
「俺の友達にお兄さんみたいなヤツがいるのを思い出したんだ。」
「へえ・・・。」
「俺の事、可愛い可愛いって・・・どこがだよ!!って、いつも思うんだけどさ。」
「ふーん・・。で、君は?」
「え?」
「君はその子の事、どう思ってるの?」
「ど、どうって・・・。」
「嫌いなの?」
「・・な訳ねーだろ!?」
「じゃ、好き?」
核心を突かれ、吾郎はドキッとして思わずアタフタしてしまうが。
そう吾郎に問う、この見知らぬ青年の瞳があまりに綺麗なので惹きこまれそうになる。
吾郎を真っ直ぐに見つめる、深い深い翠。
この感じ・・・確かに・・知ってるような気がする。
「お、俺・・・。」
吾郎がうろたえているのが、寿也には手に取るように分かった。
微かに頬が染まっているのも。
なんだか嬉しくなってしまった寿也だが
その「友達」が幼い自分であるとは思ったものの、確証が欲しくなり。
「その子、小さい時からの友達なの?君と同じ野球少年?」
「あ、ああ・・。」
吾郎は狼狽の余韻が残る様子で、少し瞳を逸らしながら答えた。
その仕草も可愛くて、もう一度抱きしめたい衝動に駆られた寿也だが、グッ・・とこらえ。
「君とその子は小さい時から一緒に野球を・・・。」
「うん。あ、だけど小さい時は俺がすぐに引っ越しちゃったから・・・。でも野球を続けてたら最近また会えたんだ。」
「嬉しかった?」
「そりゃーそうさ!」
「別のチームにその子がいたの?」
「うん。アイツもそのチームもすっげー強くてさ!アイツとやる時はスッゲー楽しいんだ!!」
吾郎の瞳がキラキラと輝いている。
「ライバルなんだ。」
「ああ!」
「ライバルなんだけど、君の事が好きなんだね。」
「・・・!」
吾郎は瞳を見開いて、みるみる頬を染めた。
それを見て寿也は幸せそうに微笑むと。
「ありがとう。いい話が聞けて良かったよ。
その・・寿くんにも今の話、してあげなよ。きっと喜ぶから。」
「え?」
「じゃ、さよなら。大人になったらまた会おう。」
寿也は少年吾郎の小さな肩を両手でガッチリと掴んでそう言うと、爽やかな笑顔で軽く手を振り立ち去ってしまった。
吾郎は不思議そうにその背中を見送りながら。
「大人になったら?また会おう??どーゆー事だ??
・・・っつか、俺、寿くんって・・名前、言ったっけ??」
首をひねってしまった吾郎だが。
「ま、いいか。・・・それにしても、あのお兄さん、本当に寿也みたいな事するヤツだったよな〜。
寿也が大人になったらあんな感じになるんだろうか。」
そんな事を考えながら。
「そんな事より腹減った〜〜〜〜!!!」
と元気に家路についた。


少年吾郎が青年寿也と再会するのは・・・・○年後?

















end

一年ほど前に日記に上げたものです。
レギュラーにくまいもとこさんがいらっしゃったので
「ドリランド」というアニメを見ていたんです。
すると、ある日のゲストに森田成一さんが出てらして!!
こ、これは、少年吾郎と青年寿也の夢のトシゴロ!?
と思ってしまって。
という訳で、無理やり妄想してしまいましたv。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
(2014.8.19)
 




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